低レベル倫理

極めて低俗で低レベルの倫理について論考する

最初の生命

地球に最初の生命が生まれたのは偶然であると考えられる。偶然生まれた生命は、まもなく偶然死んだだろう。おそらくその生命を生み出したきっかけとなった熱や対流などといったエネルギーの流れが、同じようにその生命を偶然の死に追いやったのだろう。

最初の生命が生まれた時、その周囲には生命の材料となる有機化合物が大量にあったはずである。そして、偶然の作用によって最初の生命は周囲の有機化合物を利用して自分の複製を作ることが出来た。しかし、しばらくすると最初の生命もその複製も偶然の作用によって分解されてただの有機化合物に戻って行ったであろう。

そんなことを何度も繰り返しているうちに、やがて分解されにくい構造が作られ、ある程度安定して複製を作り始めたと考える。その時、周囲には複製の材料が大量にあった。有機化合物の濃いスープの中に最初の生命はいたはずである。そして、その有機化合物の中には、一度生命の形を取りながら、再び分解されて単なる有機化合物に戻ったものもあったはずである。

このような複製の過程を「食」と呼ぶことが正しいかは不明であるが、まあ、どうせ高尚な倫理学者も生物学についてはデタラメな用語を使っているので、気にしないで「食」と呼ぶことにしよう。

つまり、極端な言い方をすれば、最初の生命が食べていたのは「生命になるまえのもの」と「一度生命になって分解されたもの」つまり「死体」であると考えられる。

光合成によって二酸化炭素から有機化合物を作るような極めて複雑な生物が登場するのは、ずっと後のことである。